福島 孝徳(ふくしま たかのり、1942年 - )は、東京都出身の脳神経外科医。鍵穴手術の考案者にして、脳腫瘍外科手術の権威。東京大学医学部卒業。
カロライナ脳神経研究所・米国デューク大学・バージニア大学教授。カロリンスカ研究所・マルセイユ大学・フランクフルト大学教授。東京クリニック及び福島孝徳記念脳脊髄クリニック所属。父は、明治神宮の神官。
来歴
医師である叔父に憧れ東大医学部に入学。東京大学病院研修医の時に世界で初めて内視鏡を使った脳の病気の診断を行い、様々な症状の原因を解明。東京警察病院に勤務後ドイツに留学、そこで脳外科の限界を思い知らされる。
1978年に帰国し三井記念病院脳神経外科部長に就任。頭部を切開することなく、ほんの小さな穴から顕微鏡を使い巧みに脳腫瘍を切除・縫合する鍵穴手術(キーホール・オペレーション)の確立に着手。現在200点にも及ぶ、鍵穴手術に必要な脳外科手術用の顕微鏡や器具の開発を、医療器メーカーと共同で行い始める。
1985年に鍵穴手術を確立し、多い時は1日に11人の手術を行い、年間600人以上・累計20,000人以上の患者を救い、「神の手を持つ男」、「ゴットハンド」と呼ばれるようになる。
48歳の頃、論文を医師の評価基準とする日本の医学界を厭い、アメリカへ渡った。異国の地で臨床の現場にこだわり続け、脳外科症例数全米1のデューク大学医学部の教授に就任した。
現在はデューク大学教授の傍ら、世界中を回り他の医師が断念した脳腫瘍の手術を行っている。また費用を自ら負担し全国の脳外科医を集めセミナーを主催している。
クリッピング手術の権威上山博康とは若い時から互いに意識し合うライバル関係にあったが、福島が脳腫瘍手術の権威、上山が脳動脈瘤手術の権威となった現在は、互いに認め合い、共同でセミナーを開催し若い医師の教育を行っている。
2006年10月には、東京クリニックが開業。同クリニックを日本での治療の拠点とする。2007年には福島孝徳記念脳脊髄クリニックが開院。
年表
1968年 東京大学医学部卒業
1968年 東京大学医学部附属病院 脳神経外科臨床・研究助手
1973年 ベルリン自由大学 Steglitzクリニック脳神経外科研究フェロー
1975年 メイヨー・クリニック脳神経外科臨床・研究フェロー
1978年 東京大学医学部附属病院脳神経外科
1980年 三井記念病院脳神経外科部長 頭蓋底の鍵穴手術(キーホール・オペレーション)を確立
1991年 南カリフォルニア大学医療センター 脳神経外科教授
1994年 ペンシルベニア医科大学アルゲーニ総合病院 脳神経外科教授、アルゲーニ脳神経研究所頭蓋底手術センター部長
1998年 カロライナ頭蓋底手術センター所長 カロライナ脳神経研究所所長 カロライナ耳研究所共同所長
2006年 東京大手町東京クリニックの運営に参画・指導開始
2007年 千葉に福島孝徳記念脳脊髄クリニックが開院
まさに実力でのし上がった代表的な医師だと思う。東大出身という肩書きも充分すぎるが。
しかし、研修医時代から世界初の診断を行ったというのはすごい。しかも今より封建制の強いであろう数十年も前に。
この人はいわゆる異端児であり、上司からは疎まれていたらしい。
まあ、人より上にいくには人と違うことをしなければいけない、ということなんだろう。
やはりすばらしい医療人なのだと思う。